「中山さん(仮名)の事例」をご紹介いたします。
中山さん(仮名)の事例 目次
その1 中山さんとの出会い
初めて中山さんとお会いしたのは、いつも通われているリハビリセンターの一室でした。ケアマネさんから紹介され、ごあいさつをさせて頂きました。
スタッフ「中山さんこんにちわ。元気の家の○○○です。」
中山さん「あぁ・・・」
声を掛けさせて頂いた中山さんの表情は遠い目をし、全く私たちに興味のないご様子でした。
事前に耳が聞こえにくいとの事をお伺いしていましたので、今度は少し大きな声でお話させて頂きます。
スタッフ「中山さん今日のリハビリの調子はどうですか?」
スタッフ「中山さんは野球の事が詳しいってお伺いして。」
スタッフ「中山さん今日はいい天気ですねー。」
会話のきっかけになりそうなお話を色々とさせて頂きますが、突然現れた私たちに驚かれる様子でもなく、ほとんど表情も変わらず遠く一点をうつろに見つめ、ただ「・・あぁ。」をくり返され活気もほとんど感じられませんでした。
あまりの反応のなさに少し不安を感じつつも、知らない人が初めて来て話を始めたのだから無理ないかな。そう思いその日の初対面は終わりました。
その2 通所スタート
通所がスタートし耳は聞こえにくいですが、もともと社交的な中山さん。スタッフが何度となく話かけさせて頂いていると、少しずつですが笑顔も見せて下さるようになってきました。
それからは野球の話、地域の話、お若い頃の話。
毎回、毎回少しずつではありますが色々なお話を自ら話して下さるようにもなりました。
中山さんの本領が発揮され出したのが体操やレクでのゲームの時間。
スタッフが負けてしまうぐらい常に真剣に参加してくれます。(^^)
運動神経なども良く、スタッフや他の利用者様と一緒に大盛り上がり!
スタッフ「やったー♪勝ちましたよ!!中山さん♪。」
スタッフが喜んで声をかけると満面の笑みで
中山さん「そうやなぁ!わははっ!」
スタッフや他の利用者様と声を出して笑ってくれるようになった中山さん。
その3 毎回出勤される中山さん
少しずつ元気の家にも慣れてこられ、しばらく経ったある日の事。
中山さん「出勤簿ある?」
なんだろう? 不思議に思ったスタッフが
スタッフ「職員の出勤簿ですか?」
と尋ねたところ
中山さん「そうそう、僕の次の出勤はいつなんかと思って。」
そして続けて
中山さん「ここはどこの系列の支店なのかな?○○○さん(以前の同僚の方)はどこの担当になったんかな?」
と以前にお勤めされていた企業と思われている様子です。
また別の日には
中山さん「○○支店の○○○さんに電話してくれるかな?どうしてるかと思って。」「前のあの企画どうなったかな?」
等々色々職員に質問されてきます。
スタッフ「○○○さんは先程電話したのですが外出中でした。」
「あの企画は大成功で終わったそうです。ありがとうございました。」
そのような事が一日に何度もあり、スタッフは中山さんが混乱されないように、毎回中山さんのお話を聞かせてもらいお話をさせて頂きました。
以前のご自分と今のご自分・・・
ご病気に加え今の状況が整理しきれていないのでは・・・?
どうしたら中山さんが中山さんらしく生活できるのか、幾度となくスタッフで話し合い
スタッフA「はっきりと今の現状を伝えた方がいいんじゃないか。」
スタッフB「いや、仕事に来ているという気持ちは、通所だけではなく中山さんの生活の原動力にもなるんじゃないか。」
スタッフからは色々な意見が出ます。
その4 ありのままの中山さん
ご家族様は会社は退職された、治療に行っているなど中山さんには何度も説明されているというお話。
何度もお話もされているのに毎回出勤される中山さん・・・
ご病気の事があるとはいえ、中山さんが出勤されているのなら、それが今のありのままの中山さんではないのか・・・
そして話し合いの結果、デイには中山さんは出勤しているという事になりました。
それからは
スタッフ「中山さんおはようございます。今日も宜しくお願いします。」 「○○○さんにお電話ですか?ついでの用事があるので私が代わりにかけておきますね。」
などなど職員も一緒に中山さんと仕事をします。(^^)
中山さんも職員がレクなどの用意をしていると、同僚の仕事を手伝ってくれるお気持ちなのかイスの用意や片付け、車イスを利用されている他の利用者様への気遣いなどを見せてくれます。(^^)
その5 ご家族思いの中山さん
しばらくしたある日
中山さん「ぼく数年前に大きな病気して入院してもう辞職届出したんや。」「体が一番やから治していかんとあかんからなー。」
それからはデイで○○○さんに電話をかけてくれないか?などの事も少なくなり、ご家族様から「最近憶えてくれているのよ。(^^)」
デイや日常生活の出来事、人の名前、日にちなどなど。
今でも時折勤務表の確認などはされますが、ご家族様手作りの出勤表を見てもらっています。
奥様、ご家族様の為に一生懸命に働いてこられた中山さん。
そしてそんな中山さんを心から大切に思っておられるご家族の皆様。
元気の家の七夕会では短冊に【家族みなが幸せでありますように。】とご自分のよりご家族の事を願っておられた中山さん。
レクなどの自己紹介の時などで大切な人は?というテーマで真っ先に奥様の名前を挙げられ
中山さん「ずっと支えてくれてる。ありがたいで。」
と愛妻家の中山さん。
今では地域の行事などにも積極的に参加され、デイをお休みされる事もあります。(^^)


